Kuchinashi/tumblr

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February 2010

“

 然るに、恐いのは、遂に自分を見失ふといふことです。見失つた人は意味(言葉)が解せなくなる。そして遂に、たとへばあんたのやうな一番根のある人が、一番根のない時間を過ごし、そして温(おとな)しくも自分は根がないなと何時の間にやら信ずることです。そしてもう何もかもが判然掴めなくなる。――その時です。「我に職を與へよ」だの「何をすればよいか」だのと考へ出すのは。
 それではそんなになることを防ぐにはどうすればよいか。
 それは、純粹な人はともかく「流す」ことが好きなものだが、それを出來るだけ喰止めればよい。もつとよくいへば、例へば外出なら外出を制限するといふより寧ろ、むやみに外出したくならない氣持、つまり自分自身であればよい、(だいたいよく外出する人は、その本心では外出したくながる側の人だといふことはお分りでせうね?)それにはただ沈黙が大事なのです。自分であることがね。つまり強くなければなりません。
 さうしさへすれば、きつとすべきことが判然して來ます。――少し他の話ですが、あんたのやうな純粹な人が、自分自身であり得たら、一番樂に何かが表現出來るのです。何故といつて表現とは普通に考へるやうに描寫することでは斷じてない。表現とは自分自身であることの褒賞(ほうしょう)であつて、人が好いことに引きずられて外物本位に生きてゐると、人は何か現はしたいなと思ふや所謂描寫を豫想することになるのです。その結果意味のない風景配列をするのです。
 自分自身でおありなさい。弱氣のために喋舌つたり動いたりすることを斷じておやめなさい。斷じてやめようと願ひなさい。そしてそれをほんの一時間でもつづけて御覽なさい。すればそのうちきつと何か自分のアプリオリといふか何かが働きだして、歌ふことが出來ます。
 寫に、藝術とは、人が、自己の弱みと戰ふことです。その戰ふ力が基準となつて、諸物に名辭なりイメッヂなりを與へる力です。

 それにしても、詩人の素質を立派にもつたあんたが、そのことを自識してゐず、自分は或る方面から非常に善い存在だがなあと薄々分りながら、その存在を發揮することが出來ず、今はや隨分消極的な氣持になつてゐることは、惜しむべきです。――尤もそれでも、あんたの無意識は立派で、僕が悄氣(しょげ)てゐる時にも、あんたが一番純粹な根のある眼で眺めてゐました。
 僕は物が暗誦的に分らないので、全然分らないので、自分が流れると何もかも分らなくなるのです。けれども、僕は分らなくなつて悄氣た時、悄氣ます。人のやうに虚勢を張れません。そこで僕は底の底まで落ちて、神を掴むのです。
 そして世間といふものは、悄氣た人を避ける性質のものです。然るに藝術の士であるといふことは、虚偽が出來ないといふことではないか!
 そしてあんたは虚偽では決してないが、恐ろしく虚偽ではないが、自分を流してしまひます。そしてあんたの眞實を、嘗ては實現しませんでした。
 が、どうぞ、沈默で、意志に富み、(外物を)描寫しようといつた氣分からお逃れなさい。そしてどうぞあんたのその素質を實現なさい。
   打つも果てるも火花の命。

”
—

中原中也
1929年 小林佐規子宛書簡より

http://www.hearts-words.jp/nakaharachuya/geijutsunodouki.html

Feb 23, 2010
Feb 23, 2010
Feb 21, 20103 notes
Feb 21, 20104 notes
Feb 17, 20104 notes
Feb 14, 2010
“ まあ、そんなことでちょっと思いつき作戦を並べてみたが、実は街中には遊び場がいくらでもある。世の中はくだらない、と、思わせつつ、よく見まわしてみたら隙だらけだ。
 巷にはしょうもない常識やモラルが蔓延しているが、こんなものに騙されて勝手に自主規制をしまくっていたら、窮屈な人生を送り、しょんぼりと死んでいくというマヌケなことになる。
 街をウロつくヒマ人、貧乏人、大バカ者、マヌケ、役立たず、ボンクラ、石つぶし、イカサマ師、ニセモノ、大うそつき、いつも昼寝してる人、遊び人、ろくでなしの諸君! 「こんな世の中だから」と、小さくなっている必要は全くない。むやみに羽を伸ばしてしまおう! 喜べ!! この遊びの温床だらけの世の中をそのままにしておくのはもったいないので、我々貧乏人はむやみやたらと世に繰り出し、勝手な祭りを引き起こして行ってしまおうではないか!!!!”
—webちくま「祭りと騒ぎを起こすために」松本 哉
Feb 13, 20106 notes
“御 断
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御理解のうえ御利用いただきたいと思います。”
—高松市歴史資料館 表紙
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